企業法務に転職して半年が経った頃に読んだ本でけっこう面白かったのである。
とりわけ、
- 契約業務はビジネスに線路を敷くことである
- 視野を広げる
契約業務はビジネスに線路を敷くことである
特に面白いなと思ったのが、本の中で一貫して主張されているこの言葉。
「契約業務はビジネスに線路を敷くことである」
企業法務の仕事をして半年くらいすると、「この仕事まじで何の意味があるのかな・・・」と悩むようになりました。
事業部から、「契約書を省きたい。事業の邪魔だから」と言われ、一生懸命作ったのにスピードが遅くなるから邪魔者扱いされ、「この条項が不利になりますよ」と一生懸命説得されたら苦笑いされた上に無視して先方の原案で契約がいつの間にか締結されていて、下請法違反を指摘したら取締役に怒鳴られるという散々な目に遭い、もはや自分のやる仕事に何の意味も見出せなくなったときにこの本を読みました。
何のために法務担当者は仕事をするのか?
法務担当者が作る契約書は何の意味があるのか?
邪魔者扱いされる契約って本当に意味がないのか?
その答えが、この一文に込められた気がします。
「契約業務はビジネスに線路を敷くことである」
なるほど。ただ自社に有利な条項を設けたり、不利な条項を修正するだけじゃない。
仕事のやり方に困ったり、行き詰まったりしたら、契約書を読めば全ての情報が書いてある。
この契約書のとおりに業務を進めればいい。
そんなガイドブックが契約書なんだ。
そう理解してからは、契約書の書き方も変わりました。
- 先方が支払いを怠ったときはどう対応すればいいのか?
- 納期が遅れたときはどうすればいいのか?
- 業務をどういう順番で進めればいいのか?
などを事細かく事業部に確認を取りながら契約書を作成するようになり、できあがった契約書は、「自分や担当者が辞めた後でも、この契約書を読めば何をどうすればいいかがわかるようになっている」というものになったはずです。
まあ、誰もそのことは理解してくれないだろうし(説明しているけど)、相変わらず事業部からは「契約書を作成するせいで業務スピードが遅くなる」と文句を言われていますけど。
視野を広げる
この本を読んでから、契約書を作成する前に、業務フローや契約内容の青写真を描くようになりました。
どうやって業務を進めるのか?という点がわからないと、線路を敷くことができませんから。
会社の業務への視野も広がったように思います。
今、会社はどのようなビジネスを行っていて、どう進めて、どこで利益を出しているのか?
ということを人に説明できる程度には。
法律だけ理解している法務担当者は使えない、と上司から何度も言われましたが、なるほどこういうことかと。
たしかに、法律だけ理解していたらビジネスに線路を敷くことはできないので、たしかに正しいのだろうなと。
企業法務のやりがいがわからなくなったら読みたい一冊
『ここからはじめる企業法務』は、企業法務のやりがいがわからなくなったら読みたい一冊です。
実に面白かったです。
この本に書かれているプレイブックの作成にも取り組みたいのですが、それはまだ先のことかな。
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